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Wan、wan、Nya〜〜、・・・、・・・(昭和3年11月24日、室生犀星の家の猫、やっと水を飲むようになる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室生犀星

昭和3年11月24日(1928年。 室生犀星(39歳)が日記に、

・・・猫はけふ夕方になりてようやく水を飲めり、これまで水をも飲まざりしなり、吐瀉物としゃぶつの中にみみずのごと きものうごめく、元気なけれど生命に別状あらざるべし・・・

と記しています。犀星は日記に、家族の健康状態、庭の草木の様子見た夢のこと、人の出入り、見た映画のことなどと共に、ペットのこともよく書いています。犀星は上の猫のほかにも、 ブルドックの「鐵(てつ)」、土佐ブルの「ゴリ」、柴犬の「ミチカー」 といったヤツも可愛がっていました。

・・・ブルドックのは馬鹿のごとき面相めんそうなれど、記憶力深し。 精神的には文明の餘沢よたく 〔あり余るほどある良きもの〕を持てるが ごと(犀星の昭和3年12月14日づけの日記)

犀星流の荒々しい愛情が光っています。 犀星一家が東京田端から当地(東京都大田区山王四丁目13 map→)に越してきたのが、1ヶ月ほど前の11月10日で、新居にかつて2度泥棒が入ったと聞き、防犯のため2日前(11月22日)に「鐵」を買ってきたのでした。犀星は「鐵」に芸を仕込んだりしています。

当地(東京都大田区)にゆかりある人で犬を飼ったのが、川端康成尾﨑士郎萩原朔太郎藤浦 洸川端龍子志賀直哉坂口安吾井上 靖、安岡章太郎、宇野千代東郷青児広津和郎川口松太郎草野心平力道山山本有三など。

犬をつれて夫人と散歩する川端康成。昭和3~4年頃。当地(東京都大田区)でのショットか ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『馬込文士村ガイドブック(改定版)』(東京都大田区郷土博物館) 犬と遊ぶ宇野千代。当地(東京都大田区)を去って、東郷青児と東京世田谷淡島の畑の中の白い家に住んだ頃 ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『宇野千代(新潮日本文学アルバム)』
犬をつれて夫人と散歩する川端康成。昭和3~4年頃。当地(東京都大田区)でのショットか ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『馬込文士村ガイドブック(改定版)』(東京都大田区立郷土博物館) 犬と遊ぶ宇野千代。当地(東京都大田区)を去って、東郷青児と東京世田谷淡島の畑の中の白い家に住んだ頃 ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『宇野千代(新潮日本文学アルバム)』

昭和4年、川端康成(30歳)は当地(東京都大田区)を去って、東京上野の桜木に住み始めますが、その頃の飼育体験を元に『 禽獣きんじゅうAmazon→)を書きました。「この作家の「非情」のあらわされた名作」(保昌ほしょう 正夫)とのこと。

上野桜木時代の川端康成。その頃、犬を9匹、小鳥はホオジロ、コマドリ、紅スズメ、ミミズク、菊イタダキを飼った  ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『川端康成(新潮日本文学アルバム)』 上野桜木時代の川端康成。その頃、犬を9匹、小鳥はホオジロ、コマドリ、紅スズメ、ミミズク、菊イタダキを飼った  ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『川端康成(新潮日本文学アルバム)』

猫派は、三島由紀夫、熊谷恒子、徳冨蘆花大佛次郎(愛猫がびりびりに破ったと思しき障子の前で夫人とニコやかに写っている写真あり)、村松梢風(11匹飼っていた)・・・。

当地(東京都大田区)の自動車販売店に勤めるUAさんは、車のボンネットの回転部に巻き込まれて右前脚を負傷した猫に「はばたくように生きてほしい」との願いを込めてPinna(英語で「翼」)という名をつけて一緒に暮らしているそうです。こういった「命との出会い」もあるのですね。

フリーカメラマンの小西 修さんは、多摩川に住まう猫たちの救済活動をされています。“人間様”の都合で、買われたり、飼われたり、捨てられたり、追っ払われたり、殺されたりしている「命」もあります。捨てられて傷ついた猫たちの命は、河川敷に住まう人たちの優しさに支えられているようです。●小西さんのツイッターブログ

猫ちゃんが自作に乗っても気にならない?書家の熊谷恒子 ※「東京生活(NO.23)」(枻出版社 平成19年)より 三島由紀夫にもこんな一面が ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:「アサヒグラフ」(朝日新聞社)昭和23年5月12日号
猫ちゃんが自作に乗っても気にならない?書家の熊谷恒子 ※「東京生活(NO.23)」(枻出版社 平成19年)より 三島由紀夫にもこんな一面が ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:「アサヒグラフ」(朝日新聞社)昭和23年5月12日号

子母沢 寛は猿(そうとうな“ ワル )を可愛がりましたし、小林古径北川千代はクジャクを飼っていました! 北川は当地(東京都大田区大森西一丁目)で夫と「高野養兎研究所」を開いている頃、七面鳥、山羊、アヒル、ウサギも飼い、動物園のようだったとか。 平木 二六じろう は東京田端にいた頃、山羊を飼って生計を立てていたようです。山川 均・菊栄夫妻も当地(東京都大田区中央一丁目の春日神社裏)に住んだ頃、ニワトリを飼っていました。火野葦平がライオンを飼ったというのも本当のようです。室生犀星はコオロギなんかも飼っています。秋になって、寒い軽井沢ではこたつの中に入れたり、当地(東京都大田区南馬込一丁目)に避難させたりしています。

小林古径作「孔雀」より ※「パブリックドメインの絵画(根拠→)」を使用 出典:京都文化博物館/総合展示/京の至宝と文化 /細川家 永青文庫コレクション8 ー近代絵画ー→ 故郷の北九州若松で、火野葦平とライオンの「金剛彦太郎」 出典:リンク切れ→
小林古径「孔雀」より ※「パブリックドメインの絵画(根拠→)」を使用 出典:京都文化博物館/総合展示/京の至宝と文化 /細川家 永青文庫コレクション8 ー近代絵画ー→ 故郷の北九州若松で、火野葦平とライオンの「金剛彦太郎」 出典:リンク切れ→

当地(東京都大田区南馬込一丁目)に住んでいた小林古径は、志賀直哉からウサギを譲られています。

志賀直哉とウサギ  ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『志賀直哉(新潮日本文学アルバム)』 小林古径の「兎図」。ひょっとしたら、左の志賀と写っているウサギだったりして? ※「パブリックドメインの絵画(根拠→)」を使用 出典:東京富士美術館/収蔵品/小林古径「兎図」→
志賀直哉とウサギ  ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『志賀直哉(新潮日本文学アルバム)』 小林古径「兎図」。左写真のウサギがモデルだったりして? ※「パブリックドメインの絵画(根拠→)」を使用 出典:東京富士美術館/収蔵品/小林古径「兎図」→

動物が苦手なのかな?という人もいます。

小島政二郎は、11匹猫を飼っていた村松梢風の家に入ったときの第一印象を「なんとも言えない不愉快な臭気」(『女のさいころ』)と書いています。

大胆不敵な(?)勝 海舟も犬だけは恐れたようです。9歳のとき局所を噛まれ、 陰嚢いんのうがやぶれ睾丸こうがん (キンタマ)が落ちるほどの大けがをしたようです。海舟の父・勝 小吉こきち が自伝『夢酔独言むすいどくげん 』に書かれており、実話のようです。

子母沢 寛『愛猿記(文春文庫)』。 悪猿“三ちゃん”との激しくもラブラブな日々。 表紙の写真は土門 拳 高久尚子「愛犬が、私を愛してくれません。どてどてどてちん! 」(徳間書店)
子母沢 寛『愛猿記(文春文庫)』。 悪猿“三ちゃん”との激しくもラブラブな日々。 表紙の写真は土門 拳 高久尚子「愛犬が、私を愛してくれません。どてどてどてちん! 」(徳間書店)
『多摩川猫物語 〜それでも猫は生きていく〜』(角川書店)。著・写真:小西 修 「グーグーだって猫である」。原作は大島弓子の同名漫画。監督:犬童一心。出演:小泉今日子、上野樹里、加瀬 亮ほか。音楽:細野晴臣
『多摩川猫物語 〜それでも猫は生きていく〜』(角川書店)。著・写真:小西 修 「グーグーだって猫である」。原作は大島弓子の同名漫画。監督:犬童一心。出演:小泉今日子、上野樹里、加瀬 亮ほか。音楽:細野晴臣

■ 馬込文学マラソン:
室生犀星の『黒髪の書』を読む→
川端康成の『雪国』を読む→
尾﨑士郎の『空想部落』を読む→
宇野千代の『色ざんげ』を読む→
萩原朔太郎の『月に吠える』を読む→
藤浦 洸の『らんぷの絵』を読む→
志賀直哉の『暗夜行路』を読む→
井上 靖の『氷壁』を読む→
広津和郎の『昭和初年のインテリ作家』を読む→
川口松太郎の『日蓮』を読む→
村松友視の『力道山がいた』を読む→
三島由紀夫の『豊饒の海』を読む→
小島政二郎の『眼中の人』を読む→
子母沢 寛の『勝 海舟』を読む→

■ 参考文献:
● 『室生犀星全集(別巻一)』 (新潮社 昭和41年発行)P.81  ●『大森 犀星 昭和』(室生朝子 リブロポート 昭和63年発行)P.19-33 ●『川端康成(新潮日本文学アルバム)』(昭和59年発行)P.30-31、P.106 ●「春ウトウト 猫バンバン(心にふれる話)」(大野孝志)※「東京新聞(朝刊)」平成28年4月4日掲載 ●『志賀直哉(新潮日本文学アルバム)』(昭和59年発行)P.77 ● 『壷井 栄 北川千代(日本児童文学大系22)』(ホルプ出版 昭和53年初版発行 昭和54年2刷参照)P.457 ●『馬込文士村ガイドブック(改訂版)』(編・発行:東京都大田区立郷土博物館 平成8年発行)P.22  ●『鎌倉のおばさん(新潮文庫)』(村松友視 平成12年発行)P.219 ●『おんな二代の記』(山川菊栄 昭和47年初版発行 昭和63年15刷参照)P.193 ● 『小林古径(巨匠の名画16)』(学習研究社 昭和52年発行)P.129

※当ページの最終修正年月日
2022.11.23

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