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原 三渓 |
三渓は、生糸貿易で莫大な富を築いた財界のリーダーです。かつ、書画、漢学、歴史を
三渓は明治39年より自邸を「三渓園」(横浜市中区本牧三之谷58-1 Map→)として公開していましたが、そこに芸術家たち専用の部屋も用意し、さらには、質の高い美術品を数多く収集、それらの鑑賞会を開いて、自らも参加して激論を交わし、芸術家たちに強烈な刺激を与えました。
三渓の長男・原 善一郎の結婚披露宴(大正6年)には、 阿部次郎(34歳)、和辻哲郎(28歳)、安倍能成(33歳)、芥川龍之介(25歳)らの姿もありました。 芥川は善一郎とは東京府立第三中学校での同級。和辻は、
このような、芸術家を経済的に援助する活動はいつ頃からあったのでしょう。
王侯・貴族が芸術家に作品制作を依頼し、芸術家がそれに応えて制作するという商取引は大昔からあったのでしょうが、そういった商取引を超えて、常日頃から特定の芸術家を庇護する活動(その庇護者をパトロンという)は、西洋のルネサンスあたりからかもしれません。その時代、芸術家は「職人」から「芸術家」として、個性を必要とする知的で精神的な存在として高く評価され始めました。
教皇ユリウス2世 |
ルネサンスを代表する作品の1つ「システィーナ礼拝堂天井画」は、教皇ユリウス2世がミケランジェロに命じて描かせたものです。教皇ユリウス2世は自らが作者をミケランジェロに決め、他に譲らず、揺るぎない考えで実行させたのだそうです。「システィーナ礼拝堂天井画」は、ミケランジェロと教皇ユリウス2世との「合作」とも言われています。
原 三渓もそうですが、パトロンには、芸術に対する深い理解が必要でしょう。打算があって金を出すのではなく、芸術そのものを守り育てることが動機の活動ですから。
芸術分野ではありませんが、
母一人子一人の高見 順は、「岡」のつく2人に助けられています。1人は、母親の針仕事の得先の岡本
1人の金持ちが金を出すのではなく、皆が少しずつ金や力を出し合う、今でいうクラウドファンディングのようなことも行われてきました。
昭和7年、スランプにあった徳田秋声(60歳)を援助するため、阿部知二、井伏鱒二、尾﨑士郎、船橋聖一、室生犀星、岡田三郎、榊山 潤らが「秋声会」を結成、同人誌「あらくれ」(秋声の代表作の1つ『あらくれ』にちなむ)を創刊、秋声を顕彰するとともに、彼に活躍の場を与え、励ましました。その後秋声は文学的に再起し、晩年の円熟期を迎えます。
昭和7年には「辻 潤後援会」もできました。その頃、辻(47歳)は、過度の飲酒で精神に異常を来し、救いが必要でした。「辻 潤後援会」には、谷崎潤一郎、佐藤春夫、北原白秋、萩原朔太郎、加藤一夫、佐藤朝山、
大杉 栄が有島武郎から資金援助を受けていたのは普通に納得できますが、後藤新平、
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| 竹田道太郎『近代日本画を育てた豪商 原 三渓 (有隣新書)』 | 高階秀爾『芸術のパトロンたち(岩波新書)』 |
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『華麗なる激情」。システィーナ礼拝堂の長さ40mもの巨大な天井画は、いかにして描かれたか。彫刻家を自認するミケランジェロ(絵など描きたくなかった?)と、なんとしてでもミケランジェロに描かせたい教皇ユリウス2世との対立と友情。ミケランジェロをチャールトン・ヘストン、教皇ユリウス2世をレックス・ハリスンが演じる。監督:キャロル・リード |
■ 馬込文学マラソン:
・ 芥川龍之介の『魔術』を読む→
・ 子母沢 寛の『勝 海舟』を読む→
・ 高見 順の『死の淵より』を読む→
・ 尾﨑士郎の『空想部落』を読む→
・ 室生犀星の『黒髪の書』を読む→
・ 榊山 潤の『馬込文士村』を読む→
・ 辻 潤の『絶望の書』を読む→
・ 北原白秋の『桐の花』を読む→
・ 萩原朔太郎の『月に吠える』を読む→
■ 参考文献:
●「明治時代の1円は現在いくらか。単純な答えが欲しい。」(レファレンス共同データベース→) ●『近代日本画を育てた豪商 原 三渓』(竹田道太郎 昭和52年初版発行 昭和56年発行3刷)P.53-55 ●『原 三渓に学ぶ 公共貢献物語』(はまぎん産業文化振興財団 平成23年発行)P.8-13、P.42-43、P.60-61 ●『芸術のパトロンたち(岩波新書)』(高階秀爾 平成9年発行)P.4-8、P.42-46 ●『氷川清話(講談社学芸文庫)』(勝 海舟 編:江藤 淳、松浦 玲 平成12年初版発行 平成27年発行40刷)P.26-30 ● 『高見 順(人と作品)』(石光 葆 清水書院 昭和44年初版発行 昭和46年発行2刷)P.22-24、P.35-36 ●「神奈川文学年表(大正元年~15年)」(神奈川近代文学館→) ●「フジクラの歴史 〜基礎確立の時代〜」(株式会社フジクラ→) ●「徳田秋声」(野口冨士男)※『新潮日本文学小辞典』(昭和43年発行)に収録 ●『歴史作家 榊山 潤』(小田 淳 叢文社 平成14年発行)P.145-146 ●『自伝的女流文壇史(中公文庫)』(吉屋信子 昭和52年初版発行 平成17年発行改版)P.182-206 ●『辻 潤 〜「個」に生きる〜』(高木 護 たいまつ新社 昭和54年発行)P.171-172、P.181-182 ●『大杉 栄自叙伝』(松岡正剛の千夜千冊→) ●『芥川龍之介(新潮日本文学アルバム)』(昭和58年初版発行 昭和58年発行2刷)P.105
※当ページの最終修正年月日
2024.11.5