|
|||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
|||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||||||||||||||||
![]() |
|
||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |
| 大森ホテルは現在の山王公園(山王三丁目 Map→)あたりにあった。樹木は当時からのものか | 在りし日の大森ホテル ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:古絵はがき |
尾﨑の『空想部落』は当地を連想させるだけですが(当地をモデルにしたのは確かだろうが)、高村
ずば抜けたセンスと情熱(狂気)で犯人を追いつめていくのが「大森警察」(大森中一丁目1-16 Map→)の
『レディ・ジョーカー』 には、その他にも当地の「山王交番」(山王二丁目 Map→。作中では「大森駅前派出所」。実際の「大森駅前派出所」は大森北一丁目にある Map→)、山王二丁目バス停(Map→)、京浜急行大森町駅(大森西三丁目 Map→)、ルーテル幼稚園(山王二丁目 Map→)、池上警察署(池上三丁目 Map→)、NTT蒲田営業所(蒲田本町一丁目 Map→)、カトリック蒲田教会(新蒲田一丁目 Map→)、環状七号線、
![]() |
![]() |
| 山王二丁目16番。ここで事件が起こる | 山王二丁目バス停近くの交差点。合田ファンにとっての“聖地” |
範囲が少し狭まりますが、
直感で蒲田に住むことにした。
ある日、いい加減冬に飽きた頃、山手線に乗って路線図を見ていると「蒲田」という文字が頭のなかに飛び込んできた、それで品川まで行って京浜東北に乗り換えた。ホームに降りると発車ベルの代わりに蒲田行進曲のオルゴールが鳴っていた。
ずっと東京に住んでいながら蒲田に来るのは二度目だった。小さいころに夏物のスカートの生地を買いに来たっきりだ。
けれども街はどこか懐かしく、夢で歩いたことがあるかのようにしっくりきた。・・・(絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』より)
と、「蒲田」炸裂です。「夏物のスカートの生地を買いに来た」のは手芸ファンならおそらく知らない人のいないJR蒲田駅近くの「ユザワヤ」(ユザワヤ 蒲田店 7号館 Map→)でしょう。他にも、雪が谷、ヨーカドーの上の映画館、サンマルク・カフェ(西蒲田店だろうか)、羽田空港、「大森駅」北口、「蒲田駅」、大田区役所、タイヤ公園、
『イッツ・オンリー・トーク』の当地(大田区)はどちらかといえば“旅人”としてのそれで、それはそれで味わい深いものですが、先祖の代から当地に根を下ろし、自身も長らく当地に住まい、当地で51年間旋盤工をしながら書きつないだ小関智弘さんの作品群(『羽田浦地図』『錆色の町』など)は重く、深いです。当然、当地の歴史的なことなども出てきます。
昭和30年の「ナイロンザイル切断事件」を題材にした井上 靖の小説『氷壁』の主人公は、天祖神社の階段(冒頭の写真を参照)あたりに住んでいる設定になっています。
天祖神社の階段は、藤浦
青木 玉 ( たま ) さんの『帰りたかった 家 ( うち ) 』(Amazon→)にも天祖神社の階段が出てきます。切ない話です。
・・・駅の前に急な石段がある。途中に踊場があって、それを上るとお宮さんがある。
石段の下に立って、母は石段は何段あるかと聞いた。頭から水をかぶったように喉がつまった。母さんは算術の稽古をするつもりなんだ、一生懸命数えて、踊場まで十五段かしら?
と言った。
「じゃ上って数えてごらん」
数えて上りながら、不安になった。
夕方の石段を、勤め帰りの人が足早に上ってゆく。一番上までゆくのかな。下の母を見ると、こわい顔をして私を見ている。立ち止ると、手を振って上へゆけ、と言っている。上まで上り切って、何段だか解らなくなってしまった。
ぐずぐずしていると、母は上って来て、どんどん歩いてゆく。もう、さっきのように袂の先を握ることも出来ないし、半歩後ろからそっとついてゆく。・・・(青木 玉『帰りたかった家』より)
幸田 文(上の文章の「母さん」)にもこんな一面があったんですね。
当地が出て来る他の作品を列記すると、恩田
![]() |
![]() |
| 高村 薫『レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)』。犯行集団、警察、検察、企業、犯罪組織が黒く渦巻き、それに差別や格差や貧困の問題が絡まってくる。本格社会派ミステリー | 「やわらかい生活」(松竹)。原作は絲山秋子の『イッツ・オンリー・トーク』。監督:廣木隆一。出演:寺島しのぶ、豊川悦司、松岡俊介ほか。蒲田の様々な表情が堪能できる |
![]() |
![]() |
| 松本清張『砂の器〈上〉 (新潮文庫) 』。「JR東日本 大田運輸区」(旧「国鉄蒲田操車場」 Map→)で事件が起こる | 松本 |
■ 馬込文学マラソン:
・ 尾﨑士郎の『空想部落』を読む→
・ 宇野千代の『色ざんげ』を読む→
・ 萩原朔太郎の『月に吠える』を読む→
・ 川端康成の『雪国』を読む→
・ 小関智弘の『大森界隈職人往来』を読む→
・ 井上 靖の『氷壁』を読む→
・ 藤浦 洸の『らんぷの絵』を読む→
■ 参考文献:
●「空想部落」(日本映画データベース→) ●『レディ・ジョーカー(上)』(高村 薫 毎日新聞社 平成9年発行)P.184、P.207-208 ●『レディ・ジョーカー(下)』(高村 薫 毎日新聞社 平成9年初版発行 同年発行3刷参照)P.103 ●『帰りたかった家』(青木 玉 講談社 平成9年初版発行 同年発行4刷参照)P.78-79
※当ページの最終修正年月日
2024.12.13