{column0}


(C) Designroom RUNE
総計- 本日- 昨日-

{column0}

選挙権獲得の歴史(第13回衆議院議員総選挙の開票。堺 利彦、25票)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堺 利彦 宮武外骨
宮武外骨

大正6年4月22日(1917年。 第13回衆議院議員選挙の開票がありました。

売文社」が軌道に乗り始め、東京市(現在の東京23区は明治22年から昭和18年まで東京市だった)から堺 利彦(46歳)が立候補しました。しかし、得票数はわずか25票です。現在では、「この人、本気?」「おふざけ?」「お金のため?」「威張りたいだけ?」と疑いたくなる人でも、25票に満たないことはめったにないと思います。25票に驚くなかれ、言論の自由を訴え続けた「頓智と反骨のジャーナリスト」・ 宮武外骨みやたけ・がいこつ (50歳)などはたったの3票です。にしても宮武にしても、思想的影響力は小さくなかったはずですが、この有様でした。

明治22年に「大日本帝国憲法」とともに「衆議院議員選挙法」(以下、選挙法)が公布され、翌明治23年に初の衆議院議員総選挙が行われ、国会が開かれるようになりましたが、選挙は、原則小選挙区制で、投票できるのは、直接国税を15円(円の値打は現在のほぼ1万倍で、現在の15万円ほどか)を納める満25歳以上の男性で、記名投票でした。10年後の明治33年に選挙法が改正されて、大選挙区制と無記名投票が導入され、直接国税10円以上を納める人となって、より多くの人が投票できるようになりますが「制限選挙」であることに変わりなく、当時の東京市の人口は約230万人ですが、有権者はわずか3万7千人ほどでした。

日本の選挙を振り返ってみます。

ルソー 中江兆民 福沢諭吉
ルソー
中江兆民

日本には民主主義という考え方がありませんでしたが、明治になって、フランス革命の思想的基盤となった天賦 てんぷ 人権論(人は生れた時から自由・平等の権利を有するという考え方)を唱えたルソーの考え方が入ってきます。明治5年、中江兆民がルソーの『民約論』(『社会契約論Amazon→)を翻訳、福沢諭吉の慶應義塾大学ではいち早く教科書として採用。

板垣退助 後藤象二郎 大隈重信
板垣退助
後藤象二郎
大隈重信

「全ての人は自由で平等であり、それらの人々が政治のあり方を決定していく」という民主主義の考え方はたちまち広まってゆき、『民約論』の日本語訳が出た2年後の明治7年には、板垣退助(36歳)・後藤象二郎(35歳)らが、「民撰議院設立建白書」を薩長閥政府に提出、自由民権運動が活発化していきます。「竹橋事件」(明治11年)に連座した近衛兵らにも、自由民権思想(またはそれを求める時代の空気)の影響があったことでしょう。

国会開設運動が盛んになり、自由民権運動の中から政党が生れます。明治14年には板垣を党首とする自由党、翌明治15年には大隈重信を党首とする立憲改進党ができました。そして、明治23年からは選挙が行われ、国会も開かれるようになって、少しずつではあっても民主主義が浸透していきます。

ところが、政府は、民主主義に同意するそぶりを見せつつ(「皆さんからのご意見を十分に汲みまして」といったそぶりを見せないと、さすがに人々からソッポ向かれる)、同時に中央集権を強く志向、世界でも稀な悪法・「出版法」「新聞紙法」、「集会条例」などで、言論を厳しく弾圧していきました。

や宮武が立候補した第13回衆議院議員選挙の2年後の大正8年、有権者の納税条件が10円から3円に一挙に引き下げられますが「制限選挙」であることには変わりなく、全ての成人が選挙できる「普通選挙」を求める「普通選挙運動(普選運動)」が活発になります(尾崎士郎も参加)。そして、ようやく、大正14年になって、加藤高明内閣のとき、選挙法が改定されて納税条件が撤廃され、「普通選挙」が実現加藤内閣の前の清浦奎吾内閣が、閣僚の多くを貴族院議員から選ぶ「超然内閣」だったことに反発し、加藤(憲政会総裁)、高橋是清、犬養 毅らが護憲三派を形成(第二次護憲運動)、「普通選挙」の実施を公約に掲げ、衆議院選挙に勝利したのでした。ただし「普通選挙」といっても、女性は除外された「制限選挙」。女性が選挙権を得るのは戦後の占領下です

「普通選挙法(通称)」が成立した1ヶ月後には、「普通選挙」によって広まることが予想される民主主義を弾圧する目的の「治安維持法」が制定されてしまいます。「普通選挙法」が“飴”で、「治安維持法」が“鞭”。その“鞭”が日本を破滅に導きました。

こういった“闘い”の末、 民主主義の根幹をなす投票権が獲得されました。それなのに、恥ずかしいことに、今の日本、投票率が異常に低いです。なぜでしょう?

それは、投票率を上げたくない人たちがいるからです。一部の支持母体の票で当選している政治家(政治家の名に値しない政治屋)とその政治屋の施策でうまい汁を吸っている人たち(または安定的な生活を送っている一部の人)は、その他の票を増やしたくないのです。あと、投票という文化的行為を憎む、無教養で怠惰な人たちもいます。そういった人たちが、「選挙ダセぇ〜」とか、「〜に政治を持ち込むな」とか、「政治の話はご法度」とか盛んに言います。彼らとて一応は民主主義に賛同しているポーズは取るのでしょうが、民主主義を全く理解していないか、または、民主主義が大嫌いな人たちです。社会の要職に付いている人やTVに出るような人たちにも結構いるので、観察してみてください。さっさと自立して、こういった大人(親や恩人やマスメディアを含む)からは距離を取りましょう。

我が子が有権者になって迎える初めての選挙はドキドキですね。我が子がもし投票しなかったら(主権者意識の欠落した大人になってしまったのなら)、それは、教育の失敗ですから。子どもを小さい頃から選挙に連れていき大人(社会人)の態度と意識を子に示してください。投票場の場に慣れさせことも必要です。選挙直前になって「選挙に行こう♡」と言い始めても、たぶん手遅れです。

期日前投票が整ってきており、平日でも、気軽に投票できます。仕事や冠婚葬祭、旅行やレジャー、天候不順などで、投票日に投票できない可能性のある人(つまりは全ての人)が、期日前に投票できます。投票所入場券というのが国や地方自治体から送られてくるので、その裏面の「期日前投票宣誓書」(大袈裟だな)にチェックとサインするだけです。投票日が迫るにつれてめんどくさくなるもんなので、選挙できる日がきたら1、2日のうちに投票しましょう(選挙公報などは皆“いいこと”しか書かないので、あまり利用価値がない。日々、家庭や仲間内で社会のことを話題にしていれば、投票できる日までに投票する人が自ずと決まるはず)。投票所入場券を持ってこなくても手ぶらでも投票できます。「あっと言う間」です。むろん、普段着のままでいいし、仕事の休み時間などに駆けつけるのもいいでしょう。投票所の人たちは皆親切なので大丈夫です。ホワイトカラーより現場人の方が断然カッコいいのですから、作業着で駆けつけましょう!

安在邦夫『自由民権運動史への招待』(吉田書店) 『民主主義 (角川ソフィア文庫)』。民主主義の基本に立ち返る。解説:内田 樹
安在邦夫『自由民権運動史への招待』(吉田書店) 『民主主義 (角川ソフィア文庫)』。民主主義の基本に立ち返る。解説:内田 樹
井戸まさえ『ドキュメント 候補者たちの闘争 〜選挙とカネと政党〜』(岩波書店) 観察映画「選挙」。監督:想田和弘。これが、選挙運動の実体・・・
井戸まさえ『ドキュメント 候補者たちの闘争 〜選挙とカネと政党〜』(岩波書店) 観察映画「選挙」。監督:想田和弘。これが、選挙運動の実体・・・

■ 馬込文学マラソン:
尾﨑士郎の『空想部落』を読む→

■ 参考文献:
●『パンとペン』(社会主義者・堺 利彦と「売文社」の闘い)(黒岩比佐子 講談社 平成22年発行)P.321-324 ●『明治大正史(上)』(中村 隆英たかふさ  東京大学出版会 平成27年初版発行 同年発行4刷参照)P.207-209 ●『詳説 日本史研究』(編集:佐藤 信、五味ごみ文彦、高埜たかの利彦、鳥海とりうみ 靖 山川出版社 平成29年初版発行 令和2年発行3刷参照)P.350-358 ●『評伝 尾﨑士郎』(都築久義 ブラザー出版 昭和46年発行)P.71-75、P.350

※当ページの最終修正年月日
2023.4.23

この頁の頭に戻る