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古本屋には、いろいろな客がやって来る。 こんな客もいたそうだ。 青年は、日に一度は必ず、時には二度も店に来る。 しかし買うことはまれで、買ったとしても安い均一本。少ない給料から本代を捻出するのは翌日の昼食を諦めることにもつながるのだ。だから値引き交渉もする。 ある日、主人は青年を叱る。 「うちも商売でやっているんだからね」 と。 そんなある日、青年は高価な本をカウンターに持ってきた。 主人は驚く。 ・・・そして、9年が過ぎ、主人に一本の電話がある。 ・・・「もしもし、関口さんですか」 「関口さん」とは、この古本屋の主人の関口良雄、『昔日の客』の著者だ。かつて関口が叱った青年が芥川賞を取ったようなのだ。 野呂は電話口で、当時を懐かしげに語った。 『ブルデルの彫刻集』(筑摩書房)をカウンターに持っていくと、関口が理由を尋ねたのか、 野呂は東京を離れることと、東京の記念にこの写真集を買おうと思うと告げる。関口は本を丁寧に包装し、代金の1/3は受取らなかったという。店を後にする野呂に関口は「元気でおやんなさい」と声をかけた。 野呂は懐かしく思い、電話をしてきたのだった。 『昔日の客』 には、こういった古本屋主人と本好きな人たちとのほのぼのとした交流がいろいろ書かれている。 『昔日の客』 について
当地(東京都大田区中央一丁目)にあった古書店 「山王書房」 の主人・関口良雄の随筆集。家族のすすめで還暦記念に発行する予定だったが、本の完成間際、関口は没する。発行されたのは、没後1年2ヶ月ほどした昭和53年10月30日。 発行は三茶書房。 あとがきを息子の直人さんが書いている。
関口良雄について
兄姉を頼って上京、体を壊す 古本屋へ 作家との交流 作家とさかんに交流し、作家の著作に関口はしばしば登場する。 尾崎一雄の 『口の滑り』 (昭和38年「新潮」 。翌年NHKでドラマ化)。 木山捷平の『酔いざめ日記』(昭和50年)、沢木耕太郎の『バーボンストリート』(昭和59年)など。 青木正美の『古書店奇人伝』にも、関口のことが詳しく書かれている。 自宅で亡くなる なつかしき 我が家に戻り 水引草 は、その頃の作か。同年8月22日の朝、自宅で息を引き取る。 59歳。 結腸癌だった。 墓所は、浦和の真福寺( ) 。
関口良雄と馬込文学圏昭和28年4月25日(35歳)、「山王書房」を開店。 亡くなる昭和52年までの24年間営業した。 多くの人と交流があった。矢部堯一(開店直後の客) 、 尾﨑士郎(矢部の紹介で知り合い終生親交)、長岡輝子(店の上がりかまちで長話する仲)、萩原葉子(長電話したり、散歩したり、一緒に鰻を食べたり)、 小田切 進(山王書房の近くに住みたいと言っていた)、野呂邦暢(昭和31年頃(野呂19歳)、山王書房から歩いて1分もかからないところに下宿して会社勤めしていた。毎日のように山王書房に通う。 詳しくは上掲文で)、三島由紀夫・瑤子夫妻(当地(東京都大田区蒲田)のボディービル・ジムへの行き帰りに寄った。三島の父親・平岡 梓も来店)、尾崎一雄(蔵書の買い取りを依頼するうちに親交) 、沢木耕太郎(実家が山王書房の近くにあり、里帰りのおり立ち寄った)、山高 登(上林 暁の話で意気投合。一緒に酒を飲んだり、旅に出たり)、和久田誠男(歩いて3分ほどの所に家があり、中学生の頃から山王書房によく通った。 晩年に開業した古書店「天誠書林」は山王書房を彷彿とさせた)など。 参考文献●『昔日の客』 (関口良雄 三茶書房 昭和53年発行)P.118-119 ●『関口良雄さんを憶う(復刻版)』 (編集人:尾崎一雄 夏葉社 平成23年発行)P.18、P.47、P.49-51、P.59、P.66、P.70 ●『古本屋奇人伝』(青木正美 東京堂出版 平成5年発行)P.138-158 ● 『バーボン・ストリート( 新潮文庫)』(沢木耕太郎 平成元年発行)P.221-238 ●『わが町あれこれ 第2号』 (編集:城戸 昇 あれこれ社 平成6年発行) P.28 ●『わがまち新井宿(第56号)』(平成24年4月1日発行)※~新井宿ゆかりの文学紹介~ 関口良雄著『昔日の客』(寄稿:関口直人) 参考サイト・ 西荻ブックマーク/●『昔日の客』を読む ~大森・山王書房ものがたり~→ ●『昔日の客』 復刊応援特集→ ●「大森・山王書房の旅」 レポート→ ●関連資料→ ●昔日の客→ 謝辞ご子息の関口直人様から内容上のことでご指導いただきました。また、お写真掲載の許可をいただきました。ありがとうございます。 ※当ページの最終修正年月日 |