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| 昭和4年の写真。まだ胸像が載っていた。左の人物が蘇峰(67歳) ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『蘇峰自伝』(昭和10年 中央公論社) |
この手の「戦争遺跡」が、身近にもあるかもしれません。
「天王寺」(東京都台東区谷中七丁目14-8 Map→)にも、川上
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川上音二郎の像もあったが・・・ ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:「町家からの眺めVol.3」(長谷川法世)(「福高寿録会」→) |
当地の本門寺(東京都大田区池上一丁目1-1 Map→)に
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| かつての星 亨 像と現在の日蓮像 ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:『撮された戦前の本門寺(古写真集)』(池上本門寺霊宝殿) |
今は顔だけになった上野大仏(東京都台東区上野公園4-8 Map→)も元は高さ6mの座像でしたが、顔の前面を除いて供出されたそうです。戦争になれば、まさに「神も仏もない」。
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| かつての上野大仏と現在 ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:「東京下町100年のアーカイブス 〜明治・大正・昭和の写真記録〜」(生活情報センター) |
供出したのは(供出させられたのは)銅像に限りません。官公庁、企業、市町村施設、一般家庭などからも、マンホールの蓋、鉄さく、梵鐘などが供出されました。一般家庭に金属供出を呼びかけるチラシには「今回で一般家庭の回収を終了したい予定がありますからこの際残らずお国へ捧げて下さい」といった一文があり、ひたすらお国のためと信じた人たちは、それこそ鍋、釜、子どもの玩具まで差し出したことでしょう。
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「金属類回収令」で集められた梵鐘。戦後、再鋳造された梵鐘の銘文に「供出」の文字を刻み、戦争の痕跡を残した寺院もある ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典: 『目でみる郷土史 四日市のあゆみ』(四日市市役所) |
昭和18年、松本竣介(31歳)が描いた「Y市の橋」には、橋の金属製の街灯部分が供出されて土台だけになった親柱が描かれています。松本は13歳で聴覚を失ったため徴兵されずに済みました。「お国のために戦わない(戦えない)若い男」という視線に耐えながら、絵筆をとったことでしょう。
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| 松本竣介「Y市の橋」(一部)※「パブリックドメインの絵画(根拠→)」を使用 出典:「東京国立近代美術館」所蔵作品 |
昭和16年公布の「金属類回収令」は、3年前(昭和13年)に公布・施行された「国家総動員法」に基づく勅令でした。
「国家総動員法」によって、国民は、全ての資源、資本、労働力を、政府に言われるままに、差し出さなくてはならなくなったのです。「金属類回収令」の他にも、「国民徴用令」「生活必需物資統制令」といった勅令が出され(天皇の権威(絶対性)を悪用するのが、幕末からの“維新”の常套手段)、次第にその適用範囲が拡大、罰則も強化されて、国民を完全に縛りあげました。
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| 平瀬礼太『銅像受難の近代』(吉川弘文館) | 木下直之『銅像時代 〜もうひとつの日本彫刻史〜』(岩波書店) |
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| 小澤祥司『二宮金次郎とは何だったのか』(西日本出版社)。戦中ほとんど供出された「臣民の手本」のその後 | 木下直之『世の途中から隠されていること〜近代日本の記憶〜』(晶文社) |
■ 参考文献:
●『蘇峰自伝』(徳富猪一郎 中央公論社 昭和10年発行)P.640-641 ●『断髪のモダンガール(文春文庫)』(森 まゆみ 平成22年発行)P.218 ●『撮された戦前の本門寺(古写真集)』(池上本門寺霊宝殿 平成22年初版発行 平成23年発行2刷)P.37 ●「Y市の橋(松本竣介)(カジュアル美術館)」(出田阿生)※「東京新聞(朝刊)」(令和元年8月11日号)掲載 ●『昭和史(平凡社ライブラリー)』(半藤一利 平成21年発行)P.223-225 ●「大半の寺院が梵鐘供出 〜銘文 今に戦時伝え〜」(吉村利男)(「歴史の情報蔵」(三重県環境生活部文化振興課県史編さん班)→) ●「戦争にペットまで動員されたってホント?」(国立公文書館「アジア歴史資料センター」→) ●「国家総動員法」(長 幸男)※「日本大百科全書(ニッポニカ) 」(小学館)に収録(コトバンク→) ●「浄光明寺所蔵の戦時下金属類回収(金属供出)関係史料について」(大三輪龍哉)(鎌倉市教育委員会教育文化財部→ ※PDF)
※当ページの最終修正年月日
2024.9.2