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昭和29年12月22日(1954年。 「蔵前国技館」(東京都台東区蔵前二丁目1 Map→)で、プロレス日本一を決定する日本選手権試合がありました。対するは、 力道山(30歳)と木村政彦(37歳)。「昭和の巌流島」と呼ばれた試合です。 力道山のタッグパートナーだった木村は、いつもながらの「外国人レスラーに痛めつけられている自分を、力道山が空手チョップで華々しく救い出す」という“筋書き”に不満を募らせ、ある日、「真剣勝負なら(力道山に)負けない」と発言、力道山を激怒させました。 じつは木村は、戦前戦中戦後の15年間不敗を誇った「史上最強」の柔術家でした。彼のかける技の破壊力はすさまじく、相手は投げられると受け身をとる暇もなく失神する人が続出、出稽古ではいくつかの技が禁止されるほどで、「鬼の木村」と呼ばれていました。一日9時間の稽古をこなし、試合前には切腹の練習をし、負けたら死ぬ覚悟で試合に臨んだそうです。 そんな彼が、プロレスの“筋書き”に我慢ならなくなるのは自然なことだったでしょう。ただし、パフォーマンス的な要素の強いプロレスで、今までの試合前に“筋書き”の合意があったのなら、その合意(約束)を木村が破ったとも言えるでしょうか。 2人は、リングで決着をつけることになりました。 今までは外国人レスラーが相手だったので、日本人同士の試合は初めてです。互いの出身スポーツから「相撲(力道山)が勝つか、柔道(木村)が勝つか」と注目されました。 会場の蔵前国技館には2万近い観衆が押しかけ、機動隊も出動。日本各地に設置された街頭テレビ(当地の大森駅(東京都大田区大森北一丁目6 Map→)前にもあった)には人だかりができました。当時テレビ局はNHKと日本テレビの2局で、ともに試合を生放送したので、視聴率は100%です! 結果は、開始15分後に、力道山が張り手と蹴りを浴びせて木村をマットに沈めました。上の映像で見ると、木村の片腕は痙攣して自由が利かなくなっているように見えます。ドクターストップとなり、力道山の勝ちということになりました。 プロレスではパンチ(空手チョップ)は禁止なのでしょうが、木村が股間を狙って蹴りを入れたことに激昂したという理由で黙認されたようです。釈然としませんね。 実は、真剣勝負と謳われたこの試合にも“筋書き”があったようです。両者の間で「引き分け」が約束されていたとのこと。力道山を怒らせた木村の急所蹴りも実は演技で、その後、木村は無防備に力道山の空手チョップを受けるつもりだったそうです。しかし、その後、力道山が本気で木村の急所(頸動脈)を攻め、木村は卒倒、続行不能になった・・・ 「朝日新聞」などのメディアが「力道山の勝利」と報道したため、力道山は今でもヒーローであり続け、木村はメディアに無惨な姿をさらし、檜舞台から去りました。 ほんとうに力道山が勝ったと言えるのでしょうか? プロレスに“筋書き”があるのだとしたら、勝負の勝ち負け、どちらが強いか弱いかを語ること自体がナンセンスのような気がします。木村の偉大さを知る人たちは、今も歯がみしているようです。あんなに勝ち負けにこだわった木村が、生活のためとはいえ、なぜ、勝ち負けとは別次元の世界に踏みいってしまったのか・・・ 「巌流島」は名勝負の代名詞になりますが、本家本元の「巌流島の戦い」も、今一、釈然としませんね(宮本武蔵がズルい?)。 その他に、日本史ではどんな「名勝負」があったでしょう? 当地(東京都大田区)にも伝説が残る名馬どうしの「宇治川の先陣争い」も、『平家物語』のエピソードとしては面白いですが、釈然としません(池月に乗る佐々木
甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信の勝負はどうだったでしょう。北信濃の領有を巡って11年間(1553-1564)にわたり争われ、主な対戦だけでも5度、川中島(犀川と千曲川の合流点。長野県長野市 上杉方は
武田方は、二手に別れ一手が妻女山を攻め、追われて降りてきた上杉軍をもう一手が挟撃する戦法(「きつつき戦法」。きつつきが木を突つき、飛び出してきた虫を捉えることから)を取りました。しかし、上杉方は
囲碁の世界での最大の「名勝負」は、無敗を誇った本因坊・秀哉の引退碁でしょうか? 架空の世界では、我らが世代の「名勝負」は、なんといっても「
ブルース・リー映画は、最後に“一番悪いやつ”と闘う直前に“一番強いやつ”と闘うパターンが多いです。「ドラゴンへの道」(Amazon→)でのチャック・ノリスとの対戦は、武道経験者からも高く評価された「名勝負」。あと、ブルース・リーは映画の中で、ジャッキー・チェンやデブゴン(サモ・ハン・キンポー)とも対戦しています。
■ 馬込文学マラソン: ■ 参考文献: ■ 参考サイト: ※当ページの最終修正年月日 |