{column0}


(C) Designroom RUNE
総計- 本日- 昨日-

{column0}

行為が表象すること(平成26年1月12日、大相撲一月場所が始まる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライミングは重力にあらがう行為。城ヶ崎海岸のアストロドーム(静岡県伊東市八幡野1739-17 map→)のルートを探る長野岳史たけしさん。かぶっていてホールドが乏しいだけでなく、クラック(岩の割れ目)にプロテクション(墜落を止めるための支点)をセットしていく、極めて難しく危険なルート(当時、日本で最も難しいルートの一つだった)。吉田和正さんが初登 ※岩場へのアプローチに立ち入り禁止の表示があったり、周囲の岩に剥離があったりするようなので注意が必要


平成26年1月12日(2014年。 大相撲の一月場所が始まりました。

井上靖
里 山

この場所を沸かせたのが、当地の「 尾上 おのえ 部屋」(平成18年創設。東京都大田区池上八丁目8-8 map→)所属の里山さとやま 。 里山はこの場所で、37場所ぶりで再入幕を果たし、昭和になってからの「最長ブランク克服記録」を更新しました。体重が123Kgで幕内では最軽量でしたが、その場所の12日目に、栃乃若を柔道の大技・一本背負いで負かしています。里山のこの場所での活躍と、この場所にいたるまでの葛藤や血の滲むような努力を思うと、鞭打たれます。

一つの行為が、それを為した人はもちろん、それに立ち会った人たち、見聞きした人たちに一生モンの印象を残すことがあるでしょう。

辻まこと

辻 まことは、登山家というより山を彷徨さまよ った人といった趣です。に次の一文があります。

・・・前方が見通せる場所にきたとき、私はハッとおもわず息を呑んだ。それはまったく驚くべき風景だった。
 倒木などという生易しいものではない。尾根筋いっぱいにマッチをバラまいたように、根こそぎ森が倒れているのだ。そのマッチ一本は、直径が二メートルもあり、長さが二十メートルほどもあるのだ。もう路などは跡かたもない。一本の倒木にはい上がって、その根に寄り掛かって、この風景を眺めた。私はそのとき、自分が実にちいさな一匹のいも虫に過ぎないことを発見した。そのすさまじい風景は、人の眼にふれないところでも、台風の爪がどんなに狂暴な力を振ったかを、明確に示していた。
 自然が示す別な一面に、私は一人で、いま直面しているのだという思いは、ひどく新鮮な緊張を感じさせた。
 煙草たばこを一本吸って、ベルトを強くしめた。こういう前途の困難は、けっして陰気なものではない。人生のプロトタイプがこういうものなら、未知な未来に対して、被害妄想なしにこうして卒直に向かっていけるものなら、本当に万歳ばんざいである。・・・(辻 まこと「引馬峠」より)

自らチャレンジしている中で出会う困難は、降りかかってくる困難とは別のもので、心に純粋な闘志を沸き起こすもの。この困難に立ち向かう呼吸を習得すれば、降りかかってくる困難にも応用できるかもしれません。

前川喜平
前川喜平

加計かけ学園の獣医学部認可をめぐる問題で「行政が歪められた」と証言して問題の本質を明るみに出した元文部科学省次官の前川喜平きへいさんと、福一原発事故(平成23年)後真っ先に脱原発の旗を掲げた当地(東京都大田区・品川区)に本拠がある城南信用金庫の経営トップだった 吉原 毅 よしわら・つよし さんは、同い年で(ともに昭和30年生まれ)、「麻布中学校・高校学校」(東京都港区元麻布二丁目3-29 map→ site→)で同級、2人ともラグビー部所属だったそうです。体格が同じくらいだったので、2人ともフォワードのロック(スクラムの2列目で前の3人の尻の間に頭を入れて押す役)。ラグビー体験は、前川さんの「負け続けても粘る」、吉原さんの「自分が守るしかない」といった気概の源泉になっているようです。

実際の行為でなくても何かあるかなと思い巡らして真っ先に思い浮かんだのが、劇画「あしたのジョー」Amazon→での“ 力石 徹りきいし・とおる の死の減量”。力石は大柄だったためウェルター級(65kg前後)の選手でしたが、少年院を出た後フェザー級(56kg前後)で復帰し、さらにはジョーと戦うためジョーと同じバンタム級(53kg前後)に移行すべく減量しました。日頃から絞りに絞っているところをさらに絞ったことが大きなダメージとなります。両者の対戦は力石の勝利となりますが、試合後力石はジョーと握手を交そうとした時マットに沈み込み、そして死んでしまいます。「週刊少年マガジン」(講談社)の連載で力石が死ぬと、寺山修司の提案で劇団「天井 桟敷 さじき 」が講談社の講堂で力石の葬儀を行ないました(昭和45年3月24日。三島由紀夫が死ぬ半年ほど前。三島は「あしたのジョー」を愛読していた)。演出は 東 由多加ひがし・ゆたか 、東が寺山に力石の葬式を持ちかけたとの説もあります。力石を打ちのめすことを自らの存在意義としてボクシングへのめり込むジョーですが、力石にとってもそんなジョーの対象たることに全生命を燃やしました

TMSアニメ公式チャンネル/50周年記念期間限定「あしたのジョー」全79話予告を大公開③「力石戦編」。「あしたのジョー」の歌と「力石 徹のテーマ」は、寺山修司が を書いている

特殊な世界の、特殊な体験から得られる、特殊な表象も興味深いです。

・・・しばらく車を見ていた。前部に二人、後部にひとり。多少の無理がある。だが滝野は、頭数を確認した時、すでに動きはじめていた。躰がキュッと引き緊っている。気持はもっとだ。こんな時、失敗ドジることはない。この時をはずせば、頭が動きはじめるのだ。動きはじめた頭ってやつは、仕事ヤマを踏む時は厄介な代物だ。ありとあらゆる可能性を検討する。そしてブレーキをかける。躰も気持もけものになることだ。危険は肌で感じさえすればいい。いつだって、ほんとうの危険ってやつは、予測の外にある。
 這いながら、車に近づいていく。かすかな波の音。風。・・・ (北方謙三『檻』より)

------------------------------------------------------

「偏見や差別と戦ってきた女性アスリート達」(2019ナイキのCM)●日本語訳付き動画を紹介しているサイト→

------------------------------------------------------

高田直樹『なんで山登るねん (ヤマケイ文庫) 』 菊地敏之『我々はいかに「石」にかじりついてきたか 〜日本フリークライミング小史〜』(中日新聞)
高田直樹『なんで山登るねん (ヤマケイ文庫) 』 菊地敏之『我々はいかに「石」にかじりついてきたか 〜日本フリークライミング小史〜』(中日新聞)
前川喜平『面従腹背』(毎日新聞出版) 「グラン・ブルー」。監督:リュック・ベッソン。出演:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノほか
前川喜平『面従腹背めんじゅうふくはい 』(毎日新聞出版) 「グラン・ブルー」。監督:リュック・ベッソン。出演:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノほか

■ 馬込文学マラソン:
辻 まことの『山の声』を読む→
三島由紀夫の『豊饒の海』を読む→

■ 参考文献:
●『山の声(画文集)』(辻 まこと 東京新聞 昭和46年発行)P.176 ●「親友対談 しなやかな反骨(城南信金顧問・吉原 毅さん×元文科次官・前川喜平さん)」(「東京新聞」(令和元年7月30日、7月31日、8月1日、8月2日) ●「城ヶ崎アストロドーム「モータードライブ」崩落」CLIMBING-net→ ●「あしたのジョーの人気キャラクター力石徹の実際に行われた葬儀」心に残る家族葬→ ●「自決前に三島由紀夫が知りたがった「あしたのジョー」最終回」ctokutaのブログ→) ●「春秋」(平成30年2月16日)日本経済新聞→ ●「三島由紀夫氏と連合赤軍がともに『あしたのジョー』を愛読していたのは・・・」YAHOO!知恵袋→

※当ページの最終修正年月日
2023.1.12

この頁の頭に戻る