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昭和28年5月28日(1953年。 深夜1時40分、堀 辰雄(48歳)が、結核で亡くなりました。
堀は、2年前、「油屋」の隣の家を引き払って向かいに家を新築(現「堀 辰雄文学記念館」(長野県北佐久郡軽井沢町追分662 Map→ Site→)。もうその頃は結核が相当悪く、堀の指示で多恵子夫人が書庫の本を並べました。大好きな読書もままならず、結局はこの書庫に足を運ぶことさえできなかったとのこと。
どの本がどの位置にどう配置されているかは、著者の思考回路を知る手がかりになります。
堀の本棚には、夏目漱石、森 鴎外、芥川龍之介、泉 鏡花、エドガー・アラン・ポーなどの全集のほか、
人を指差して「偏っている」とかいう人は、当然、このぐらいの範囲の本は熟読・理解してますよね?(堀はそんなことを言わなかったでしょう)
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写真集『三島由紀夫の家』(Amazon→)は、当地の三島由紀夫邸(東京都大田区南馬込四丁目32-8 Map→)を篠山紀信さんが撮影した写真集です。本棚の写真も見開きで12面あります。三島の本棚には、日本の古典(「万葉集」「源氏物語」など)、百科事典の類、各種画集、各種西洋文学、各種西洋哲学、仏教と神道関係、日本近代文学(川端康成、谷崎潤一郎など)、歴史関係(『木戸幸一日記』『現代史資料』『昭和史の天皇』など)などなど。堀の蔵書にも洋書がありましたが、三島の本棚にも多数横文字の本が並んでいます。堀の本棚には絶対並ばないようなエグい本(『海の性典』『変態性欲考』『ロリータ』『O嬢物語』など)もたくさん並んでいます。
自著に頓着せず散逸するケースもありますが(「自分の本には興味が無い」という正宗白鳥のような作家もいる)、三島は自著もキチンと並べて取ってあります。
小笠原豊樹が訳した『マヤコフスキー詩集』も並んでいます。三島とマヤコフスキーとでは思想的には対極ですが、三島は、詰まる所、思想の人ではなく、「態度(情熱、行動)の人」なので案外辻褄があうのかも。
三島邸の書斎の本棚の本は今も当時のままのようですが、非公開。
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| 篠山紀信さんの写真集『三島由紀夫の家』(普及版)を見る | 三島の本棚に並ぶ『マヤコフスキー詩集』 ※ 『三島由紀夫の家』より |
当地にゆかりある作家・尾﨑士郎の蔵書の一端を、窓ガラス越しですが、「尾﨑士郎記念館」(東京都大田区山王一丁目36-26 Map→ Site→)で見ることができます。歴史関係が多く、『原 敬日記』なども並んでいます。
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尾﨑邸の本棚の一角。吉川英治の『太閤記』、富田常雄の『姿三四郎』、福本和夫の『人間毛沢東』、室伏高信の『これが人間である』、小山勝清の『それからの武蔵』、佐野 学の『足利尊氏』、菅原 裕の『東京裁判の正体』などなど |
城 昌幸の蔵書4,750冊が死後、城の自宅近くの馬込図書館(東京都大田区中馬込二丁目26-10 Map→ Site→)に寄贈され、「城 昌幸記念文庫」(Site→)になっています。かつては開架でしたが、現在はほとんどが閉架。
創価学会員以外にはあまり知られていないようですが、池田大作さんは当地(東京都大田区)で生まれ、昭和41年(38歳)頃までほぼ当地在住でした。若き日の池田さんが山本伸一という名で登場(演:あおい輝彦)する映画「続・人間革命」に、若き日に池田さんが住んでいた当地(大森)のアパートと思しき場所での場面があり、彼の本箱も映ります。よく再現されているようです。池田さんが実際に所有している本を借りて、撮影に利用したのかもしれませんね。
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| 映画「続・人間革命」より。ゲーテ、ボードレール、ユーゴー、ホイットマン、ワイルドといった西洋文学、ニーチェ、マルクス、ベルグソンといった西洋哲学、トルストイ、ドストエフスキーといったロシア文学、横光利一、石川啄木といった日本文学、本居宣長、幸徳秋水、三木 清、西田 |
『赤毛のアン』の和訳で知られる村岡花子が住んでいた場所(東京都大田区中央三丁目12-4 Map→)に、平成7年、「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」が開設され、蔵書も公開されていましたが、平成26年、村岡の母校「東洋英和女学院」に蔵書などの資料が寄贈され、現在、同校で「学院資料・村岡花子文庫展示コーナー」(大学院棟1階。東京都港区六本木五丁目14-40 Map→ Site→) として公開されています。
当地には第一次南極越冬隊の隊長だった西堀榮三郎の邸宅(東京都大田区鵜の木一丁目20-1 Map→)もあり一般公開されていましたが(宿泊も可能だった)、現在はありません。居間だけは、西堀榮三郎記念「探検の殿堂」(滋賀県東近江市横溝町419 Map→ Site→)に復元されています。蔵書も見れるのでしょうか?
人の家に行って興味深いのが本棚ですが、本棚をジロジロ見られるのを嫌う人もいるので注意が必要です(脳内を見られるようなものですからね?)。その点、書店や図書館は、思いっきり見れるのが良いです。どんな本をどういった配列で並べているかを“読む”ことで、その書店の店主、その図書館の司書の、技量・知性・矜持を読み取ることができます。
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| 川本 武『本棚が見たい!』(ダイヤモンド社)。写真:津藤文生、大橋 弘。筒井康隆、
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『私の書斎』(地産出版)。本や書斎にまつわるエッセイ。田宮虎彦、山本薩夫、宮城音弥、荒 正人、植草甚一ほか。皆、膨大な本に取り囲まれて生きた |
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| 『向田邦子の本棚』(河出書房新社)。向田は本屋の女房になりたかったという | 草森紳一『随筆 本が崩れる (中公文庫) 』。蔵書が崩壊して死にそうになった体験など |
■ 馬込文学マラソン:
・ 堀 辰雄の『聖家族』を読む→
・ 室生犀星の『黒髪の書』を読む→
・ 三島由紀夫の『豊饒の海』を読む→
・ 尾﨑士郎の『空想部落』を読む→
・ 城 昌幸の『怪奇製造人』を読む→
■ 参考文献:
● 『評伝 堀 辰雄』(小川和佑 六興出版 昭和53年発行)P.187 ● 『堀 辰雄(人と文学シリーズ)』(学習研究社 昭和55年発行)P.178 ●堀 辰雄文学記念館 開館期間・入館料等のご案内/蔵書(著者順和書)(PDF)→ 署名本(寄付者順(PDF)→ ●『三島由紀夫の家(普及版)』(篠山紀信 美術出版 平成12年発行)P.114-137 ●「西堀榮三郎(読切歴史人物伝 5)」※「月刊おとなりさん(平成24年7月号)」(ハーツ&マインズ)P.4-10
※当ページの最終修正年月日
2025.5.28