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昭和9年12月26日(1934年。
盲目の政治家・高木
27歳で東京府議会議員となり、その後明治23年、第1回「衆議院総選挙」で当選しますが、7年後(明治30年高木40歳)に緑内障で失明。絶望し死を望んだ一時期もあったようですが、衆議院議員仲間の柴 四朗(政治小説の傑作と謳われた『
勅撰で終身任期の貴族院議員に推挙されたときは「大衆の味方であり続けたい」とそれを拒否、大隈内閣の参政官の打診があった時も辞退しています。足尾鉱毒事件で被害住民側にたって戦った田中正造(高木の15歳上)を敬愛し、高木も常に弱者の味方たろうとしました。婦人参政権と普通選挙の実現のためにも奔走。昭和3年、浅野総一郎らが推進しようとした京浜運河の開削と埋め立ては、当地(東京都大田区)の海苔産業に打撃を与えることが必至でした。高木は、漁民の請願を衆議院・貴族院に提出する中継ぎをします。 質素な生活を送りましたが、政治活動のために私財を投じたため、生活はいつも苦しく、取り立ての米屋、魚屋、八百屋が家の前にずらりと並ぶことも珍しくなかったそうです。それでも、特定の利権のためには動かなかった。資金集めのパーティーもいっさい開かず、自らの理想を実践。家に井戸と塀しか残らないような政治家を「井戸塀の政治家」というそうですが、高木の政治姿勢から生まれた言葉だとか。ぎりぎりの資金で動いた高木でしたが、支援者たちは中身の乏しい財布から献金(子どもも小遣いを献金したという)、率先して選挙運動にも協力したそうです。このような政治家が当地にいたことを誇りに思います。 高木が敬愛した田中正造もまさに「井戸塀の政治家」で、足尾銅山の公害反対運動で財産を使い果たし、大正2年71歳で死去したおりに所有していたのは、なんと信玄袋一つ。そこには、書きかけの原稿、「新約聖書」、鼻紙、川海苔、小石3個、日記3冊、「帝国憲法」と「マタイ伝」(「新約聖書」の福音書)の
彼らに比べ、現今の、身につけている上等な生地の背広や所有している高級自動車を誇るような政治家もどきはなんなんでしょう。おそらく彼らには、確たる民主主義的な政治信条などなく、ただただ金を基づく権力保持(自分・自分たちが支配したいという動物的本能の発現)にこそ関心があるのでしょう。高木や田中の爪の垢を煎じて飲むといいですね(口に含むこともできないか・・・)。 政治家の劣化は、日々、政治家の金に関する不祥事を生んでいます。 政党や政治家に対して資金提供する政治献金には、企業献金、団体献金(企業以外の宗教団体、労働組合、業界団体などによるもの)、個人献金がありますが、企業献金と団体献金は利権獲得など自身や自身の所属団体への優遇を期待していると疑われるケース(“賄賂”性が疑われるケース)が多く、政治腐敗の一大原因として問題視されてきました。 この不健全な政治献金を抑制する目的で、不健全な政治献金がなくても政党活動が十分に行えるように(不健全な政治献金がなくては政党活動が十分に行えないとする考え方自体、おかしいが)、平成6年に「政党助成法」ができ、年間320億円(国民1人当たり年間250円負担している計算)もの大金が毎年政党に交付されるようになりました。よって、現在は、政党助成金(政党交付金)が政党収入で大きな割合を占めています。平成25年の純収入に対する政党助成金の割合は民主党91%、自由民主党89%、日本維新の会72%ほどでした。 問題は、政党助成金が交付されるようになって、不健全な政治献金が抑制されるようになったかです。 平成24年与党に復帰した自民党は政治献金を前年より67%増やしています。与党の政治力に期待(見返りを期待)してのことでしょうか。政党助成金ができても企業献金が抑制されず、政党助成金もがっぽりもらって、両取り状態になっているのではないでしょうか? なお、日本共産党は、政党助成金を強制的な献金(政党支持の自由を踏みにじる制度)ととらえ、当初から一切受け取ってきませんでした。企業献金と団体献金も政治腐敗の一大原因として退けています。どこぞの「身を切る」政党より、よっぽど身を切ってますね? 政治資金パーティーのパーティー券を購入することにも、主催団体への献金の意味合いがあります。企業献金と団体献金が抑制されるべきなのと同様、政治資金パーティーも控えられるべきですが、相変わらず盛んに開催されているようです。 政治資金パーティーそのものも問題ですが、さらには、パーティーでの収入を正しく記載しないで裏金を作った疑惑も生じています(政治団体は全ての収入を「政治資金収支報告書」記載しなくてはならない)。 不適切な支出の問題もあります。 公金を原資とする金で近しい会社から物品を購入したり、支援者・有権者を接待したり、他党攻撃のために外部機関に支払われた疑惑もあります。年間10億円にも上る「内閣官房機密費」の使い道に対しての疑念も高まってきました。当然収支は記録されているはずで(記録されてない? 記録されてもすぐ捨てちゃう? 何かやましい支出をしている?)、機密に関係ある文書であっても、先進国と呼ばれる国のように30年後に公開すべきです(「30年ルール」。英国は「20年ルール」)。 見えるようにするのが(可視化が)、政治腐敗を防ぐ一番の方法でしょう。
■ 参考文献: ※当ページの最終修正年月日 |