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ビートルズがやって来た!(昭和41年6月29日、ビートルズ、来日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビートルズの4人。左よりジョン・レノン、リンゴ・スター、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン。当地(東京都大田区羽田空港)に降り立った順は、ポール、ジョン、リンゴ、ジョージ ※「パブリックドメインの写真(根拠→)」を使用 出典:Billboard page 15( 1 May 1965)→

 

昭和41年6月29日(1966年。 の未明(午前3時44分)、ビートルズの4人(ポール・マッカートニー(24歳)、ジョン・レノン(25歳)、リンゴ・スター(25歳)、ジョージ・ハリスン(23歳))が、当地の羽田空港31番スポット(現在の「第3ターミナル」(東京都大田区羽田空港2-5-1 Map→)のビルの一角)に降り立ちました。ドイツ公演からの直行で、当時はヨーロッパからの直行便がなかったので(ソ連の上空を飛べなかった)、ドイツのハンブルクMap→から米国アラスカ州のアンカレッジMap→を経由してやってきました。

上下線とも通行止めされた首都高速を使って、19分で赤坂の「東京ヒルトンホテル」(現「ザ・キャピトルホテル 東急」(東京都千代田区永田町二丁目10-3 Map→)に到着、その後、ここに4泊します。860人もの警察官・機動隊がホテル周りの警備に当たりました。

その翌日から、日本武道館(東京都千代田区北の丸公園2-3 Map→)で、3日連続(6月30日〜7月2日)で5公演をこなしています。1公演はわずか30分ほどでした。

日本で歌ったのは、
  1-Rock and Roll Music(チャック・ベリーの楽曲)

以下は、オリジナルで
  2- She's A Woman
  3- If I Needed Someone
  4- Day Tripper
  5- Baby's In Black
  6- I Feel Fine
  7- Yesterday
  8- I Wanna Be Your Man
  9- Nowhere ManAmazon→
10- Paperback WriterAmazon→
11- I'm Down

レコードデビュー(昭和37年)の4年後で、解散(昭和45年)の4年前なので、彼らの初期から中期あたりまでの曲が並んでいます。すでに世界的なバンドになっていましたが、まだ後期の突き抜けた感じは乏しいです。でも、こういった過渡期の作品にも後の彼らの萌芽があるのでしょうから、きちんと聞かなくてはなりませんね(ある程度聞くと初期のビートルズの良さに気づくというファンも多いそうだ)。

ビートルズは全部で13枚アルバム(数え方によって異なる)を出していますが、9曲めの「Nowhere Man」(「存在しない奴」)は、6枚目の「Rubber Soul」(「ゴム製の魂」。「まがい物のソウルミュージック」?)に入っています。ジョンが「ビートルズが音楽的に同時代に影響を与えた最初のアルバム」と言うように、このアルバムから彼らの実験性と批評性が際立ってくるようです。

「神聖な日本武道館で海外のアーティストが公演するなどもってのほか」と右派の反対運動があったし、熱狂的なファンが何をするか分からないので(他国のビートルズ公演で、柵を飛び越えてステージに突進したり、失神するファンもいた)、当日は東京オリンピック(昭和39年)の開会式に迫る8,370名もの警察官が動員され、警備を固めました。会場では5人に1人ほどが警察官で、立ち上がることも諌められたそうです。

ジョージいわ く「静かで、妙な雰囲気」でしたが、それでも、少女たちはかなり絶叫したようで、ゲスト席に招待された人の中には「キャーキャーというさわぎで、歌もろくすっぽきこえない。どうにかきこえたのは、イエスタデーがどうしたとかこうしたとかいう一曲だけ」(三島由紀夫41歳)、「悲鳴に似た絶叫が館内を満たした。それは鼓膜をつんざくばかりの鋭い騒音で、私はいかなる精神病院の中でも、そのような声を聞いたことがない」(北 杜夫39歳) との感想を持つ人もおり、ほとんどのメディアも「演奏がほとんど聴こえなかった」と伝えました。

しかし、音楽も歌詞もある程度頭に入っているファンには、ビートルズの演奏が「しっかりと聴こえ」、ビートルズの日本公演は、彼らの一生を左右するほどのビッグイベントとなりました。会場に足を運んだ沢田研二や宇崎竜童は、以後、ビートルズという存在とビートルズの音楽を強く意識するようになるようです。

世界は、なぜ、ビートルズに熱狂したのでしょう?

自分らで詩も音楽も作り、それを自らが演奏するといったオールマイティー感はもちろんのこと、4人4様の個性が立っているからでしょうか。シニカルで哲学的で不思議な声を出すジョンに、内向的な独特な感性を持つジョージ、音楽性抜群のポール(いろいろな声が出せるし、ギターも上手い)、陽気で人がいい?リンゴ。風貌もそれぞれでカッコいい、からでしょうか?

ロックの軽快なリズムと、今まで聞いたこともないハーモニー、曲の盛り上がりとともに飛び出すシャウト(叫び声)がバッチリ決まって、痺れた人も多いことでしょう。あと「君が好きで好きでどうしようもない」といった“女々しい”歌詞も、ちょっと前まで「日本男児は・・・」とやっていた国ですから、新鮮だったことでしょう。

日本公演があった昭和41年、東洋文化に興味があったジョン(26歳)が、オノ・ヨーコ(33歳)の個展に足を運び、それがきっかけで2人は親しくなり、昭和43年から同棲、翌昭和44年に結婚。2人は頻繁に来日し、東京、京都、軽井沢、箱根などを訪れています。昭和51年から、ジョンが殺害される前年(昭和54年)までの4年間、夏になると軽井沢の小野家の別荘を訪れ、合計すると9ヶ月間ほど滞在しています。軽井沢ではジロジロ見られないでいい感じに無視してくれるのが良かったようです。

ジョンとヨーコと息子のショーンは、軽井沢の万平ホテルを定宿にした。レノン夫妻が泊まったのはアルプス館2階の128号室。ホテルには、ジョンが親しんだピアノも保存・展示されている 万平ホテルのカフェ。メニューにはジョン直伝のロイヤルミルクティーがある。彼はアップルパイも好きだった。ここにきてこの2品を注文すると、彼のファンであることがバレる
ジョンとヨーコと息子のショーンは、軽井沢の万平ホテルを定宿にした。レノン夫妻が泊まったのはアルプス館2階の128号室。ホテルには、ジョンが親しんだピアノも保存・展示されている 万平ホテルのカフェ。メニューにはジョン直伝のロイヤルミルクティーがある。彼はアップルパイも好きだった。ここにきてこの2品を注文すると、彼のファンであることがバレる

ビートルズは、昭和32年にジョン(16歳)が「クオリーメン」というバンドを作ったところから始まるようです。同年(昭和32年)教会のガーデンパーティーでの「クオリーメン」の演奏を聴いたポール(15歳。生年でいうとジョンの2歳年下)が、友人を介してジョンに面会、メンバーになります。翌昭和33年、ジョージ(14歳。生年でいうとジョンの3つ年下)がオーディションにパスして参加。4年して昭和37年(レコードデューの年)、ドラムのピート・ベストの代わりにリンゴ(22歳。生年でいうとジョンと同い年。ジョンは10/9生まれで、リンゴは7/7生まれなので一番年長)が入って、お馴染みの4人にフィックスするようです。それまでには、何度か改名し、メンバーの入れ替わりもありました。

『ビートルズ全詩集』。オリジナル全183曲の原詞と内田久美子氏による日本語訳。後期作品の実験性と批評性 アルバム「Rubber Soul」。村上春樹氏の本のタイトルにもなった「ノルウェーの森」で、ジョンの発案でジョージがシタールを演奏。ジョージはベナレスのラヴィ・シャンカルにシタールを習った
『ビートルズ全詩集』。オリジナル全183曲の原詞と内田久美子氏による日本語訳。後期作品の実験性と批評性に刮目 アルバム「Rubber Soul」。村上春樹氏の本のタイトルにもなった「ノルウェーの森」で、ジョンの発案でジョージがシタールを演奏。ジョージはベナレスのラヴィ・シャンカルにシタールを習った
宮永正隆『ビートルズ来日学 ~1966年、4人と出会った日本人の証言~』(DU BOOKS) 『『ジョン・レノン 〜音楽と思想を語る〜(精選インタビュー 1964-1980)』(DU BOOKS)。編:ジェフ・バーガー、訳:中川 泉
宮永正隆『ビートルズ来日学 ~1966年、4人と出会った日本人の証言~』(DU BOOKS) 『ジョン・レノン 〜音楽と思想を語る〜(精選インタビュー 1964-1980)』(DU BOOKS)。編:ジェフ・バーガー、訳:中川 泉

■ 馬込文学マラソン:
三島由紀夫の『豊饒の海』を読む→

■ 参考文献:
●「ビートルズ来日公演 ~観客席の少年少女たちには確かに届いていた音楽~」(佐藤 剛)(TAP the POP→ ●「ビートルズ4人が滞在した伝説のホテル『ザ・キャピトルホテル 東急』」(半澤則吉)さんたつ→ ●『ビートルズ来日学』(宮永正隆 DU BOOKS 平成28年初版発行 同年発行3刷参照)P.2-P.3  ●「ビートルズを継ぐ 来日50年 語り奏でる「知らない世代」」(藤浪繁雄)※「東京新聞(朝刊)」(平成28年6月26日)に掲載 ●『MUSIC LIFE ~ザ・ビートルズ来日前夜~』(シンコーミュージック・エンタテイメント 平成28年2月28日発行)P.31 ●「ビートルズ見物記」(三島由紀夫 初出:「女性自身」昭和41年)※『決定版 三島由紀夫全集 34』(新潮社 平成15年発行)に収録  ●「ジョン・レノンと夏の軽井沢」(巻口勇次)※『母のキャラメル 〜'01年版ベスト・エッセイ集〜』(文藝春秋 平成13年発行)に収録

■ 参考映像:
●「ザ・ビートルズ来日 〜熱狂の103時間〜(アナザーストーリーズ)」(NHK プロデューサー:高城朝子 令和3年3月9日初回放送)

※当ページの最終修正年月日
2023.6.30

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