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天保12年6月4日(1841年。
無人の
万次郎は9歳で父親を亡くし、5人の兄妹を女手一つで育てていた母親を助け(兄は病弱だった)、1年前(13歳頃)から海に出ていました。その年の1月5日、
最初宇佐浦の沖に
風で帆柱も倒れ(海外へ渡航しないよう帆柱は1本だけに制限されていた)、舵も帆布も波にさらわれてもはや操船不能となって、漂流します。
そして、5日半(10日とも)の漂流の末に、鳥島に流れ着いたとのこと。海上にポツンとある孤島に(伊豆諸島の1つ。周囲が6.5〜8kmほど)、よく漂着できたものです。その無人島で、5人は143日間生き延びます。
ジョン・ハウランド号に助けられた5人のうち4人はハワイで下ろされますが、万次郎だけは船長ホイットフィールドに気に入られ、彼の養子になって米国で、英語・数学・測量・航海術・造船技術・民主主義・男女平等などを学びます。ジョン・ハウランド号から 「ジョン」をとってジョン万次郎と呼ばれるようになります。
万次郎の帰国は10年後の嘉永4年(1851年。24歳)で、長崎奉行所をへて、翌嘉永5年(1852年)土佐に帰還、10年間の顛末を語りました。土佐藩の狩野派の絵師であり思想家でもあった
その後、万次郎は、幕府に招聘され、航海術の書籍の翻訳、捕鯨の指導などに従事。万延元年(1860年。32歳)の咸臨丸の乗組員にも抜擢され、通訳として活躍しました。
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万次郎一行が鳥島に漂着したのは黒潮の影響のようです。黒潮は、世界最大規模の海流で(世界二大海流の一つ)、流れが速いことでも有名です。東シナ海方面より流れてきて、台湾と石垣島の間を抜けたあと、九州・四国方向に転じ、
万次郎一行は島に到着143日後で救出されましたが、天明5年(1785年)に船が難破して鳥島に流れ着いた野村長平などは12年と4ヶ月間も鳥島で生き延びました(漂着時は3名いたが2年以内に2人は死亡)。後に漂着した者たちと船を作って、青島、八丈島をへて故郷の土佐へ帰還しますが、地元ではその時ちょうど彼の13回忌の供養をやっていたとか(帰還時の年齢は37歳)。『ロビンソン・クルーソー』(Amazon→)や『十五少年漂流記』(Amazon→)に匹敵する冒険譚ですね。吉村 昭の『漂流』(Amazon→)は、長平のサバイバルを追った長編ドキュメンタリー風小説です。
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無人で島全体が一つの岩山のような鳥島で、漂着した人たちが生き延びることができたのは、「沖の
記録に残るだけでも江戸時代、100人以上が鳥島に漂着し、この絶海の孤島から80名あまりも生還しています。
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万次郎らの漂流の9年前(天保3年。1831年)、尾張の船「宝順丸」が1年間漂流後、音吉ら3名の生存者が米国に漂着しています。
天保8年(1837年)に来航した米国の商船「モリソン号」には、音吉ら7名(他に岩吉、久吉、
江戸時代以前の海上運航技術が未発達な時代は、日本人に限らず、漂流する人が少なくありませんでした。徳川家康の外交顧問となって、洋式帆船の建造や英国との通商に尽力した三浦按針も元は漂流民でした。慶長5年(1600年)現在の大分県に漂着(35歳)、英国名のウィリアム・アダムスでピンとくる方も多いことでしょう。アダムスと同じ船に乗っていたオランダ人ヤン・ヨーステンも漂着し、家康の外交・貿易の顧問として活躍しました。
縄文人は、東南アジアから黒潮に乗って漂流してきた人たちの血が濃いと考えられます。
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| 『 |
マーギー・プロイス『ジョン万次郎 ~海を渡ったサムライ魂~』(集英社)。訳: |
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| 高橋大輔『漂流の島 〜江戸時代の鳥島漂流民たちを追う〜』(草思社) | 春名 徹『にっぽん音吉漂流記 (中公文庫) 』 |
■ 参考資料:
●『ジョン万次郎漂流記(角川文庫)』(井伏鱒二 昭和54年発行)P.6-14、「解説」(沼田卓爾) ●「かつおやまぐろはどうやって捕まえるの?」(まるこすいさん→) ●『漂流奇談全集』(編・校訂:石井研堂 博文館 明治41年発行)P.907-910(NDL→) ●「中浜万次郎」(春名 徹)※「朝日日本歴史人物事典 」(朝日新聞出版)に収録(コトバンク→) ●「黒潮」(長坂
■ 参考映像:
●「漂流アドベンチャー 〜黒潮に乗って奇跡の島へ〜(プレミアムカフェ)(NHK BSプレミアム)(司会:渡邊あゆみ、旅人:池内博之、ゲスト:鈴木光司)
※当ページの最終修正年月日
2023.6.6