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ところが、判決の翌年(平成18年)にも、植草氏は別の事件に巻き込まれます。氏の「命をかけて無実を訴える」といったスタンスに、腹を立てた人がいたのでしょうか? この事件でも、植草氏は過酷な取り調べを受け、裁判になり、高裁でも争われますが最高裁が植草氏の上告を棄却、懲役4ヶ月の実刑が確定。
京浜急行線の品川駅(Map→)・蒲田駅(Map→)間で、酒に酔って半眠り状態でドアに向かって立っていた植草氏が2人(?)の男に取り押さえられました。その直前、自称女子高生の甲高い声が上がったのです。この事件にも不可解な点が多数あります。
植草氏は、何があったのかも分からず、また
蒲田駅事務室に着くと、前の事件で「警察では真実が真実として扱われない」ことを痛感した氏は、報道被害のことも頭をよぎり、絶望、ネクタイで自死を図りました(駅員が阻止)。
やはり文書が作文(捏造?)されます。植草氏は「痴漢をしたという認識はない」と訴えましたが、調書には「痴漢をやったことは覚えていない」と書かれ、また、「痴漢を認めたことは絶対ない」と言うと、「警察のでっちあげだと言っている」という話にすり替わってマスコミにリークされます。その後マスコミがどんなにヒドい報道をしたか・・・。被疑内容は「女子高生の臀部をスカートの上から、さらに下着の上から手指で撫でるなどした」というとうていあり得ないものでした。
・・・取り調べ検事は「否認を続ければ裁判で私生活を攻撃して家族を徹底的に苦しめてやる」との発言を繰り返した。学校等での「いじめ」を意図的に誘発するとも受け取れる発言だ。私はこれを「脅迫」だと感じた。この発言が私を苦しめ続けた。・・・(中略)・・・私に「こんな所にいないですぐに仕事をして欲しいんだ」、「日本はいま大事な時期だから、こんなことに時間をかけてはだめだ。大事な仕事を早くして欲しいんですよ。」と繰り返し、犯罪を認めることを迫り続けた。・・・(植草一秀『知られざる真実 ~勾留地にて~』より)
そして、立件されて裁判。検察側証人(科捜研の研究員)が植草氏の指にあった繊維が自称女子高生のスカートの繊維と「類似」していると証言、検察は懲役6ヶ月を求刑します。それに対し、植草氏側は、独自に大学教授に鑑定を依頼、その繊維が蒲田駅の駅員の制服の繊維と「極めて類似」しているとの結果を得ます。自死しようとする植草氏とそれを阻止しようとする駅員がもみ合った際付着したものでしょう。しかし、後者の鑑定結果は裁判で却下されました。
警察官や検事は無実の人を検挙・脅迫・立件することで心が痛まないのでしょうか? 裁判官は 検察に逆らわないのが処世術なのでしょうか? マスコミはスキャンダラスに報道し、売上や視聴率が上がればいいのでしょうか?
無実の罪を着せられた人の苦悩は計り知れません。どれだけ罰金を払わされたとか、どれだけ刑に服したとかいうのは瑣末なこと。有罪になったことで社会的に葬られたり、家族や知人から誤解されて関係が断絶したり、その後の人生がメチャメチャになる可能性大です。日本では、刑事裁判における有罪率が異常に高く99.9%だそうです。つまりは起訴されたらほぼ「お終い」。なんのための裁判でしょう?
植草氏の件に限らず警察官や検事の不適切な取り調べが時々ニュースになります。早急な取り調べの「完全可視化」が必要です。平成28年、被疑者の取り調べの録画を義務づける「改正刑事訴訟法」が成立しましたが、裁判員裁判対象事件・検察独自捜査事件に限られ、全事件の3%にも満たない極めて不完全なもののようです。この問題について、平成27年3月26日の参議院内閣委員会で、山本太郎参議院議員が、山谷えり子・内閣府特命担当大臣(防災)、政府参考人(三浦正充氏、上冨敏伸氏)に切り込みました(YouTube→ 書き起こし→)。
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| 植草一秀 『知られざる真実 〜勾留地にて〜』(名月堂書店)。氏が被った「3つの冤罪事件」に言及 | 今村 核『冤罪と裁判 (講談社現代新書) 』。なぜ、冤罪事件が起きるのか? 日本の刑事裁判の後進性 |
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| 菅野良司『冤罪の戦後史 〜刑事裁判の現風景を歩く〜』(岩波書店) | 「それでもボクはやってない 」。脚本・監督:周防正行、出演:加瀬 亮ほか。「キネマ旬報ベスト・テン」第1位 |
■ 参考文献:
●『知られざる真実 ~勾留地にて~』(植草一秀 名月堂書店 平成19年初版発行 平成21年発行6刷)P.230-231、P.249-250、P.255、P.262-263、P.269 ●『植草事件の真実 ~ひとりの人生を抹殺しようとするこれだけの力~』(編著:植草一秀事件を検証する会 ナビ出版 平成19年発行)P.3-15 ●「憲法改正 自民案の36条から、拷問禁止の「絶対」が消える?【争点:憲法改正】」(千代明弘)(THE HUFFINGTON POST→) ●「取調べの可視化」(日本弁護士連合会/取調べの可視化本部)(site→)
※当ページの最終修正年月日
2024.4.27