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政治と宗教(平成5年8月9日、細川内閣、発足する)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成5年8月9日(1993年。 非自民の8党会派(日本社会党、新生党、公明党、日本新党、民社党、新党さきがけ、民主改革連合、社民民主連合)による細川護熙もりひろ 連立内閣が発足、昭和30年から38年間続いた自民党の一党支配が終焉します。公明党は初めて与党となり、郵政大臣、労働大臣、総務庁長官、環境庁長官の4つの閣僚ポストを得ました。

公明党が非自民勢力に合流したことで、国政における自民党の立場が危うくなりました。自民党は、公明党は創価学会がバックにあり「政教分離」の理念に反すると、公明党を執拗に攻撃し始めます。創価学会名誉会長・池田大作の創価学会幹部会における政治的は発言のテープが流出し、公明党の議員たちは池田ら創価学会の幹部からの指示で行動していると指摘、「憲法二十条を考える会」や「信教と精神性の尊厳と自由を確立する各界懇話会」(創価学会に批判的な宗教団体などに呼びかけた)を設立しました。

平成7年にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こすと、自民党は政治を志向する宗教団体の危険性を説いて、創価学会攻撃を強めます。自民党は公明党が合流した新進党(反自民。平成6年に結成)に打撃を与えるために、池田の国会への参考人招致を要求。激しい協議の末、池田の招致は見送られましたが、第5代創価学会会長の秋谷栄之助が招致され、公明党が合流する新進党が打撃を受けます。

さらに自民党は「政教分離法案」や「宗教基本法」を国会に提出する方針を示し、創価学会を追い詰めていきました。

一方で、自民党は、創価学会側に「政治から手を引くか、新進党から離れて公明党に戻るか、さらには自民党に協力するかするなら攻撃をやめる」といったメッセージを出し続けたため、政党存続の危機に瀕した創価学会側は、各地の地方選挙で自民党系候補を応援し始めます。この公明党の180度の転向が大きな原因となって、新進党は解散。現在に至る自民一強の礎が築かれてしまいました。

その後、自民党は創価学会と創価学会系議員への攻撃を止めます。結局のところ自民党の政教分離の主張は、その理念に賛同するからではなく、他党(創価学会系議員)を追い詰めるためだったのです。

新進党に合流するために解党・分裂した公明党は、平成10年に再び合流して再出発します。翌平成11年には、 「日米ガイドライン関連法案」「国旗国家法案」「通信傍受法案」など公明党・創価学会内でも異論が多かった法案にも賛成し、自民党に歩調を合わせるようになりました。両党はその後もずっと歩調を合わせ、数の力で、「特定秘密保護法」「集団的自衛権(解釈改憲による行使の容認)」「安保法制」などを強引に成立させてきました。公明党は党を存続させるため、当初の平和志向を完全に捨てたかのようです。

城戸四郎

自民党が立ち上げた「憲法二十条を考える会」を前述しましたが、憲法二十条は 「信教の自由」と「国の宗教活動の禁止」を規定したものです。3項からなります。

  1. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
  2. 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
  3. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

公務員(国会議員や地方議員も含む)にも、当然、信教の自由が認められますが、公務員は「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法第十五条) ので、「一部」の意を受けることは、企業献金が慎まれるべきなのと同様、慎まれるべきです。繰り返しになりますが、公務員は全体の奉仕者なのですから。

この憲法二十条と憲法十五条、それと憲法八十九条(公の財産の支出利用の制限)は、憲法の政教分離原則を規定しているもので、それらを盾にかつて自民党は創価学会批判を展開しました。ところがどうでしょう、近年の自民党は、政教分離どころか、第2次安倍政権以降「政教癒着」しまくっています

近年もっとも問題視されているのが、旧・統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下、統一教会)と、与党を中心とする自称保守の政治家たちとのつながり。

統一教会は韓国人・文 鮮明を教祖として昭和29年に設立されました。昭和33年には日本でも布教を開始、昭和39年、宗教法人の認証を受けています。しかし、昭和45年以降、同教団や関連団体の、出自を隠して布教する「偽装伝道」、「万物復帰(この世の全てのものはサタン(信者以外の全ての人)に奪われたものなので取り戻さなければならない)」の考えから行われる物品販売や霊感商法などが問題となり、信者の逮捕も相次ぎました。

霊感商法などで得られた金たるや、平成19年から平成23年にかけて、毎年、教祖夫妻に300億円送金されたようです。その莫大な資金を使って、統一教会は政治に接近、影響を与え続けています。政治家への対策費として毎月1億円ほどが計上され、訓練された信者を自民党の議員に派遣し、その中から秘書になる者も続出、国政選挙に立候補し議員になる者も多数いました(衆参合わせて150人ほど?)。選挙のおりも教団からの指示で、自民党系の議員を支援、彼らを当選させてきました。統一教会は政治家の懐に飛び込んで、極めて重宝する存在となり、政治家を内側からコントロールしているようです。反共思想や、「選択的夫婦別姓制度」「性的少数者への差別禁止法」への反対など、自民党と統一教会の主張が一致していることが多く、彼らはたまたま一致しているだけとしますが、統一教会からの影響を指摘する声が自民党内部からも上がっています。

有権者一人一人が自立的・自律的に判断して関わるべき政治に、上からの声に盲目的に従う宗教が関わると、民主主義が歪められます。政教分離は尊重されなくてはなりません。

城戸四郎

他にも、「神道(政治連盟)」と「日本会議」も自民党を支えてきました。自民党は宗教まみれと言っても過言でないでしょう。さすがに今の自民党は政教分離の観点から他党を批判できないでしょうから、この際、公明党は自民党と手を切って(手を切れないなら同じ穴のムジナ)、元の「平和」の理念を取り戻してはどうでしょう?

中野 潤『創価学会・公明党の研究 〜自公連立政権の内在論理〜』(岩波書店) 橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 〜政教分離を問い直す〜 (集英社新書) 』
中野 潤『創価学会・公明党の研究 〜自公連立政権の内在論理〜』(岩波書店) 橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 〜政教分離を問い直す〜 (集英社新書) 』
『徹底検証 日本の右傾化 (筑摩選書)』。編著:塚田穂高。権力・マスコミの極度の右傾に宗教が根深く関わっている。21人のプロパーが様々な角度から検証 『マルサの女2」(東宝)。脚本・監督:伊丹十三。政治家と結託して宗教法人を隠れ蓑に巨額の脱税を働く地上げ屋と、マルサ(国税局査察部)の戦い。前作「マルサの女」をしのぐヤバさ
『徹底検証 日本の右傾化 (筑摩選書)』。編著:塚田穂高。権力・マスコミの極度の右傾に宗教が根深く関わっている。21人のプロパーが様々な角度から検証 『マルサの女2」(東宝)。脚本・監督:伊丹十三。政治家と結託して宗教法人を隠れ蓑に巨額の脱税を働く地上げ屋と、マルサ(国税局査察部)の戦い。前作「マルサの女」をしのぐヤバさ

■ 参考文献:
●『創価学会・公明党の研究 〜自公連立政権の内在理論〜』(中野 潤 岩波書店 平成28年発行)P.10-17 ●「細川護熙内閣」(橋本五郎・水野雅之)※「日本大百科全書(ニッポニカ) 」(小学館)に収録コトバンク→ ●「第79代 細川護熙内閣 閣僚名簿」首相官邸→ ●「公明党」(藤井 正、五十嵐 仁)※「日本大百科全書(ニッポニカ)」(小学館)に収録コトバンク→ ●「統一教会=勝共連合 〜その右派運動の歴史と現在〜」(鈴木エイト)、「「宗教の右傾化」はどこにあるのか 〜現代日本「宗教」の類型的把握から〜」(塚田穂高) ※『徹底検証 日本の右傾化 (筑摩選書)』(平成29年発行)に収録 ●「エリート2世信者の目を覚まさせたものは?児童に物売り活動をさせる実態も明らかに!自身も養子縁組に直面」(多田文明)YAHOO! JAPAN→) ●「野田聖子氏、自民ジェンダー政策に旧統一教会などが影響と見方」朝日新聞デジタル→

※当ページの最終修正年月日
2024.8.7

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